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高森明勅
2016.4.28 08:00

呆れ果てた「西尾・加地」対談(2)

4月27日、春の園遊会。雅子妃殿下は昨年、秋の園遊会に始めの
部分だけとはいえ、
実に12年ぶりにご出席になったのに続き、
今年も限られた時間ながらご参加になった。

これは4月3日の神武天皇「2600年」式年祭で、
7年ぶりに
皇室祭祀にお出ましになったのと共に、
長くご療養を続けておられる
妃殿下のご快復を窺わせる、
嬉しく有難い出来事。

特に園遊会は、妃殿下にとって取り分けハードルの高いご公務の1つ。

大変な勇気とご努力無くしてはあり得ないこと。

ところが加地伸行氏は、こんな発言をしている。

適応障害とされる雅子妃の状況を含め、皇室の様子は…努力の跡が
見えません」と。

事実をまるで見ていない以前に、何様のつもりか。

国民統合の象徴であり、わが国の主権を体現される尊厳なる天皇陛下
と、
そのご近親によって構成される皇室に対し、あたかも自分の
使用人”の勤務評定でもするかのような「上から目線」の無礼な態度に
は、驚きを禁じ得ない。

更に、「努力の跡が見え」ない実例として、次のように述べる。

4月3日の神武天皇没後2600年関連の行事が象徴的でした。
天皇皇后両陛下は奈良県橿原市の神武天皇陵に随行された
秋篠
宮ご夫妻とともに参拝されましたが、皇太子ご夫妻は皇居の
皇霊殿で参拝したにとどまりました。

関西の新聞では、陛下や秋篠宮殿下が大きく扱われた隅に、
皇太子ご夫妻の記事が添えられているという状況でした」と。

無知とは恐ろしい。

こんな愚かな発言を平気で出来るのだから。

神武天皇2600年式年祭には、橿原での「山陵の儀」
と宮中での
「皇霊殿の儀」がある。

天皇・皇后両陛下は山陵の儀にお出まし。

そこで当然ながら、皇霊殿の儀には「御名代(ごみょうだい)」を
立てる必要がある。

その大役を果たせるのは、皇太子・
同妃両殿下しかいらっしゃらない。

雅子妃殿下は無理を押して、皇太子殿下とご一緒にその大役を見事に
果たされた。

一方、秋篠宮・同妃両殿下の場合は両陛下に「供奉(ぐぶ)」された
に過ぎない。

何を勘違いしているのか。

“代理”と“お供”の格の上下も分からないのだろうか。

いやしくも知識人なら、代理とお供の軽重を誤った報道があれば、
その誤りを正すのが当然。

それを逆に、間違った報道を根拠に、鬼の首でも取ったように
皇太子・
同妃両殿下へのバッシングに利用するとは。

加地氏のこうした無知丸出しの発言に、西尾幹二氏はこう
応じている。

雅子妃の行動が皇室行事全体の運営に何かと支障をきたしている
とは関係者の共通の認識になっているようですね」と。

雅子妃殿下が、ご療養中にも拘わらず使命感をお持ちになって、
大切な式年祭でご立派に皇后陛下の御名代をお務めになった事実から、
どうして正反対のこんなデタラメな話に展開するのか。

一体西尾氏は、雅子妃殿下のどのような「ご行動」が皇室行事「
全体」
にどのような「支障」をもたらしていると言うのか。

平素、国民の為に多大なご負担を背負って戴いている皇室に対し、
具体的な根拠も示すことができないまま、「ようですね」
無責任に非難がましい言葉を連ねる姿勢は、醜悪と言う他ない。

(続く)

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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